ギュンター・ヴァント 1912年1月7日 - 2002年2月14日ウィキペディア
ヴァントが得意とする作曲家は数多いが、中でも特別なレパートリーであったのがブルックナーである。彼のブルックナー演奏は、それまでのものとは一線を画すものであった。ブルックナーは教会オルガニストであり、非常に敬虔なカトリック教徒であったことから、その音楽もカトリックに結びつけて理解されることが多いが、ヴァントはこうしたブルックナー像に対して批判的であり、映像化されている最後のインタビュー中でも、彼を「交響曲作曲家」として表現したいと語っている。ブルックナーの宗教音楽を演奏しなかったのもそのためであるという。
ヴァントはブルックナーの交響曲の中でも第5番と第9番を最も重要な作品と位置づけていた(ヴァントは「この2曲は全く外的な影響を受けていない、世評に対して完全に背を向けた作品である」と述べている)。だが、西ドイツ放送に録音を依頼され、彼がこの交響曲第5番を遂に指揮することになったのは1974年のことである。
またヴァントは、ケルン放送交響楽団との交響曲全集を完成させた後は交響曲第1番、第2番を再録音することはなかった(交響曲第1番を振らない理由としてヴァントは、「同曲が病的な作品であるから」と述べており、ケルン放送交響楽団との録音はブルックナー自身が晩年に改訂した稿(ウィーン稿)を使用している。交響曲第2番についてはケルン放送交響楽団との録音の出来に大変満足し、再録音してもこれ以上の演奏は行えないとの判断があったためである。
交響曲第00番、第0番は録音していない。