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分かっていること
南アフリカで検出された変異株は「B.1.1.529」と呼ばれる。世界保健機関(WHO)は26日にも、ギリシャ文字を使用した名称を付ける。WHOはこれまでにも、イギリスで最初に特定された「B.1.1.7」系統を「アルファ」、インドの「B.1.617.2」系統を「デルタ」などと名付けている。
変異株「B.1.1.529」には信じられないほど激しい変異がみられる。南アフリカの感染症流行対応・イノベーション・センターの局長、トゥーリオ・デオリヴェイラ教授は、「特異な変異の集まり」がみられるとし、これまでに流行したほかの変異株とは「非常に異なる」と述べた。
「この変異株に我々は驚かされた。予想していたよりも大きな進化を遂げ、はるかに多くの変異が起きている」
デオリヴェイラ教授は記者団への説明で、全体で50の変異があり、そのうち30以上の変異がスパイクたんぱく質にみられたと説明した。ウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質には人体の細胞に入り込むカギの役割があり、現在開発されているほとんどの新型ウイルスワクチンはこのスパイクたんぱく質を標的としている。
さらに、受容体結合ドメイン(RBD、スパイクタンパク質の中で、人体の細胞の表面に最初に触れる部分)を見てみると、世界中に広まったデルタ株では2つしかなかった変異が10も確認された。
これだけの変異があるということは、ウイルスを撃退できなかった1人の感染者から発生したものである可能性が高い。
変異の数が多いからといって、必ずしも悪い状況だというわけではない。これらの変異が実際にどういう働きをするのかを知ることが重要だ。
ただ、懸念すべきなのは、この変異株が中国・武漢で発生した最初の新型ウイルスとは根本的に異なるという点だ。つまり、従来株を用いて開発された新型ウイルスワクチンが、新たな変異株にはそれほど効かない可能性がある。
これらの変異の中には、これまでの変異株で確認されたものもあるため、どんな働きをするのかある程度の洞察が可能だ。
例えば、N501Yと呼ばれる変異では、新型ウイルスが広がりやすくなるとみられる。ほかにも、抗体がウイルスを認識しづらくなり、ワクチンが効きにくくなる可能性のある変異や、全く新しい変異もある。
南アフリカのクワズール・ナタール大学のリチャード・レッセルズ教授は、「このウイルスは感染力が強まり、ヒトからヒトへ感染を広める能力が高まっているだけでなく、免疫システムの一部を回避できるのではないかと懸念している」と述べた。
続きは以下から
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-59413580