政府が経済対策決定 18歳以下の「10万円給付」など盛り込む
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政府は19日、新たな経済対策を閣議決定した。規模は財政支出ベースで過去最大規模の約55・7兆円となる。これまでの新型コロナウイルス対策に加え、岸田文雄内閣が掲げる「成長と分配」の政策を実現するための施策を盛り込んだことで規模が膨らんだ。
金融機関の融資や民間の投資も含めた事業支出ベースでは約78・9兆円規模になる。対策に必要な予算として、2021年度補正予算案に約31・9兆円を計上。松野博一官房長官は同日の記者会見で、補正予算を26日に閣議決定する予定だと明らかにした。来月に召集予定の臨時国会に提出し、年内の成立を目指す。
新型コロナの感染拡大防止には約22・1兆円をあてる。医療提供体制の確保に加えて、コロナ禍で傷んだ家計や事業者への現金給付策が並んだ。住民税の非課税世帯に10万円を給付するほか、18歳以下の子を持つ世帯に10万円相当を給付する。困窮する学生なども給付対象とした。
コロナの影響で売り上げが減った事業者に対しては、事業規模に応じて最大250万円を給付する「事業復活支援金」を整備する。菅前政権下まで実施していた持続化給付金よりも要件を緩める。ガソリンなどエネルギー価格の高騰に対しては、石油元売り業者へ資金支援するなどして店頭価格の上昇を抑える。
社会経済活動の再開と今後の備えとして約9・2兆円を計上。旅行需要喚起策「GoToトラベル」の再開を準備する一方、感染拡大防止と経済を両立させるため、国産ワクチンや治療薬の研究開発や製造拠点の整備も進める。
岸田首相が掲げる「新しい資本主義の起動」に向けては約19・8兆円を充てた。科学技術立国に向け、10兆円規模の大学ファンドを年度内に設置。デジタル田園都市国家構想の実現のために「交付金の大規模展開」を実施し、地方のデジタル化を進める。経済安全保障については5000億円規模を用意し、半導体など先端技術の実用化を支援する。
このほか、防災や減災、国土強靱化(きょうじんか)の推進としては約4・6兆円を支出して経済の下支えを図る。
岸田首相は同日の経済財政諮問会議で「コロナ禍で傷んだ経済を立て直し、一日も早く成長軌道に乗せていく」と強調。年内のできるだけ早い時期の補正予算成立を目指す考えを示した。
今回の対策は、与党が衆院選で掲げた公約を盛り込んだことに加え、来年の参院選を見据える与党から多額の措置を求める声が相次いだことで規模が膨らんだ。財源は多くが赤字国債の増発でまかなう見通しで、財源をどう手当てしていくかも課題となる。