(>>2の続き)
み止めを買う余裕がなかったことがつらかったです」と振り返る。
止まらぬ涙の理由
路上生活になると、井上さんは昼間は公園のベンチや河川敷で仮眠を取り、夜はキャリーケースを引いてひたすら街を歩き回った。寒空の下、薄手の夏服で歩く自分が、どんどん周囲から「普通」に見られなくなっていくようで恐ろしかったという。そんな日々が続く中、「このまま終わっていくんだな」と、次第に死を意識するようになっていく。
「瀬戸さんと会う前の3日間は寒すぎて、昼間ベンチや河川敷に座っていることもできなくて……。昼、夜関係なく1日中、上野、東京、浅草のあたりを歩き回っていました。スニーカーの底に穴が開いて、足が痛くてちゃんと歩けなくなってきて……。(東京都の)TOKYOチャレンジネットから断られたとき、あー、これで絶好の自殺の理由ができたなと思ったんです」
瀬戸さんを初めて見たとき「ほんとに来ちゃったんだ」と思ったのは、安堵からではない。せっかく死ぬ決意をしたのに、これで死ねなくなってしまったという、どちらかというと戸惑いに近い気持ちだったという。
相談者を励ます瀬戸さんの姿を見て涙がこぼれたのも、ホッとしたからではない。
「自分が情けなかったんです。いい大人が自立もできない、働けないなんて。ほかの人に普通にできてることが私にはできないと思うと……自分がみじめすぎて涙が止まらなかったんです」
全文はソースで
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0819/bso_210819_7489067215.html
8月19日(木)7時0分 文春オンライン