やり場のない気持ちが爆発したのか、中2の後半、剛少年は思わぬ行動を起こしてしまう。握りしめた拳で同級生を殴るようになった。相手は特定の1人。数カ月にわたり、繰り返し繰り返し、何も悪くないその子の腹をパンチした。傷は服に隠れて見えないため、いじめは中3になるまで周囲に気づかれなかった。
「本当に、なんであんなことをしたのか、彼には申し訳ないことをしました。本当に申し訳なかったなって思います」(剛さん)
悪いことは、いつかはバレる。標的となった少年が風呂に入ろうと服を脱いだとき、母親がお腹のアザに気づいた。母親は学校に連絡、剛少年のこれまでの悪行が白日の下にさらされた。こうして中学3年生の10月、剛少年は自主退学となった。
それでも、母・敏子さんはまったく動じる様子はない。「こんな学校、中退できてよかったのよ」。敏子さんの口からは思わぬ言葉が出てきたという。精一杯の強がりだったのか、敏子さんはそれ以上のことは言わなかった。
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引用文献: 東洋経済ONLINE「中学退学「東大ありき」受験に挑んだ少年の結末」より
https://toyokeizai.net/articles/-/297921
(おわり)