疑義のついた企業は格下げになり、融資を受けにくくなることも想定される。コロナの終息がまったく見通せないなか、画一的に運用すると多くの企業がこのルールに抵触する懸念が出てくる。このためコロナの拡大に伴う不透明感が漂うあいだは、すぐに適用しなくてよいようにする。
銀行と企業の融資契約の条件も和らげる。融資契約では、融資先の企業が最終赤字や債務超過などに陥った際に借入金の一括返済などを求める「コベナンツ条項」と呼ばれる特約を結ぶことがある。金融庁はコロナの影響で赤字などになっても、この条項をすぐに発動しないように金融機関に要請する方向だ。
米国など日本企業の海外子会社では、物理的に監査法人が企業に立ち入れない事態も出ている。このため、海外子会社に関する意見をどう扱うかについても協議会で代替策を議論する。
一方、企業の政策保有株(持ち合い株)や子会社株については現行ルールの適用を確認する。株や債券の価格が簿価より30~50%下落した際、回復する見込みがあれば減損処理しなくてもよいことになっており、この運用は変えない。
金融庁は企業会計制度を所管する。有価証券報告書に虚偽記載などがあれば企業に訂正や課徴金納付命令を出すことができる。内容が不十分であれば改善を求めるケースもある。
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