巨匠アニメ監督「40代が自分を高校生と思い込んで観てるのが日本のアニメ」「世界で恥ずかしい」 #6

6番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2020/03/11(水) 00:57:56.89 ID:???

――個人的には、小学校の教育で使ってほしいと思っています。

前作『この世界の片隅に』はそうです。でも、新作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は違う。子供向けだとしたら、ベッドシーンは入れないですよ。

――確かに、あのシーンにはちょっと驚きました。正直に言うと、入れてほしくなかったです。

この映画の原作となった漫画が連載されたのは、青年漫画雑誌の『漫画アクション』です。漫画アクションには『クレヨンしんちゃん』の連載が始まった雑誌です。クレヨンしんちゃんの原作の漫画には両親のベッドシーンがありますよ。

――『クレヨンしんちゃん』は、子供向けではないですよね。

でしょ。『この世界の片隅に』は、同じ雑誌に連載されていた漫画です。

■見る側も、言えばいい
――子供向けが作られないというのは、作る側が考えないといけないことなのか、それとも見る側が考えないといけないことなのでしょうか。

見る側は、もっと子ども向けの作品がほしいなと思っているなら、そう言えばいい。前作『この世界の片隅に』は、クラウドファンディングによる出資で作りましたが、それをやらなければいけなかったのは、まさにそこなんです。主人公が今時の高校生じゃないのにお客さんは来るの? いや、来るんです。最初からそう言って成り立った企画なんです。

――今時の高校生に設定しているから子ども向けなのかと思ったけど、違うんですね。

だから「今時の高校生」は40歳までが対象なんです。後期思春期。高校生の主人公が40代にも同じように刺さるんです。

――それでも片渕監督も関わった『忍たま乱太郎』(93年開始)など、子供向けアニメは少なくないように思える。

『忍たま乱太郎』だって何年前のものですか。つまり、子ども向けのものというのは、実はブランド固定なんです。新規参入ができない。

――不思議です。なぜなのでしょうか。

マルチチャンネル化していることは一つ大きいです。親は『となりのトトロ』のDVDを買ってきて子供に見せていればいいんだもん。再生産はいらないんです。

それ以上に、アニメーションが子ども向けのものだという認識が、日本ほどされていない世の中は、世界中探してもないんです。だからこそ、大人向きだって認識すらもできない。それなのに、その中で大人向きのものを作ろうとしたので、我々は苦労してきたのです。

かたぶち・すなお 1960年生まれ、大阪府出身。日本芸術学部映画学科在学中から宮崎駿監督作『名探偵ホームズ』に脚本家として参加。ジブリの『魔女の宅急便』では演出補。96年のテレビシリーズ『名犬ラッシー』で監督デビュー。06年『BLACK LAGOON』も監督作品。その他、『クレヨンしんちゃん』『ちびまる子ちゃん』『かいけつゾロリ』など携わったテレビアニメは多数。アニメ映画では、98年『この星の上に』、00年『アリーテ姫』、09年『マイマイ新子と千年の魔法』、16年『この世界の片隅に』を監督。昨年12月20日に新作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を公開、上映中。

(了)

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