ユニークなのは天皇が戦時下でどのような考えでいたかも伝えていることだ。開戦前に連合艦隊司令長官山本五十六から真珠湾攻撃について説明を受けていた。山本は、第1次攻撃から第2次攻撃の作戦なども説明したという。そして次のように説明している。
「天皇陛下は気重そうな御様子でしたが、技術的な点について、2、3を質されただけでした。山本長官は続いて、魚雷が底の浅い真珠湾で潜りすぎぬために、特に側翼を付してあることを付け加えました。天皇陛下はこれに御賛成になりました」
天皇は開戦の時に確かに署名をされているのだが、その様子を「『憂鬱』そのものであらせられました」と書くのである。天皇は軍事からの圧力を受けていたとも書いている。次のやりとりは興味深い。
天皇がマッカーサーを初めて訪問したとき、なぜあなたは戦争を裁可したのかと問われて、
「(天皇は)元帥の顔を見つめて、『もし私が許さなかったら、きっと新しい天皇が立てられたでしょう。それは国民の意思でした。国民の望みに逆らう天皇はいないでしょう』と言われたのでありました」
と答えたと国民に教えるのである。 (あすにつづく)