東京新聞:町中に水と油 復旧長期化も 佐賀・大町:社会(TOKYO Web)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019090102000127.html
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/images/PK2019090102100079_size0.jpg
猛烈な雨で冠水被害に見舞われた佐賀県では三十一日、時折雨が降る中、県内外から駆け付けたボランティアが住民らと協力して住宅の清掃や家財道具の片付けを進めた。初の週末を迎え、復旧作業が本格化した。ただ、鉄工所から大量の油が流出した大町町(おおまちちょう)では、除去作業が長期化する恐れも。作物被害も深刻で農家の人々は肩を落とした。
油は住宅街に拡散し、鼻をつく臭いがする中、自衛隊や住民らが吸着マットなど使い除去作業を続けた。鉄工所周辺の広大な水田では、稲の穂先の多くに油が付着し茶色くなっていた。濁水につかったまま稲が見えないところもある。
十月上旬に収穫を控えていた農家の岸川研二さん(69)は今年の収穫を断念した。「全滅状態になるのは初めて。土壌も汚染されているだろうし、浸水で農業機械も壊れた。今後、稲作を続けられるかも分からない」とうなだれた。
鉄工所近くで板金工場を営む山中敏光さん(70)は、工場とすぐ横の自宅が浸水した。工場も自宅も壁にべったりと茶色い油の線が残り、工場内では工具やモーターの付いた機械が砂にまみれたまま散乱。「高校を卒業してからずっとここで仕事をしてきたが、やめどきなのか」と寂しそうにこぼした。