家も田畑も油まみれ 九州北部大雨 有明海に油膜、漁協不安|【西日本新聞ニュース】
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/539389/
甚大な冠水被害が出た佐賀県大町町。順天堂病院周辺の水はほとんど引いたが、鉄工所から大量の油が流出しており、農業や漁業への影響が懸念される。自衛隊などが30日から除去作業を本格化させるが、難航が予想され、復旧の見通しは立っていない。
民家と田畑が混在する一帯では早朝から、住民が片付けに追われた。冷蔵庫やタンスが倒れ、汚れた衣服が散乱する室内は、至る所に黒い油がべっとり。鼻を突くような異臭も漂う。
自宅を3月に新築したばかりの会社員、南川康弘さん(58)は「流出を鉄工所が早く公表していれば、被害を減らせたのではないか」と憤り、田んぼが油まみれの水に漬かった女性(70)は「米農家なのに、米を買わなければならないかも」と肩を落とした。
◆ ◆
県や国土交通省によると、佐賀鉄工所大町工場から漏れた油は約5万リットル。流出範囲は付近を流れる六角川の河口から上流に2~17キロ付近とみられる。病院周辺の油は30日朝から自衛隊が除去を進め、県も31日に職員30人を派遣する。数日で取り除ける見込みだ。
一方、住宅をむしばんだ油については行政の支援は手つかず。具体的な対策の検討はこれからだ。
農業への影響も深刻だ。県によると、農地に付いた油を拭き取るのは難しく、油が自然に分解されるには年単位の時間がかかる場合もある。石灰などで分解を促進する手段もあるが、対応は検討中で「被害の全容もまだ見えない」という。
国交省は六角川河口近くの有明海で油膜を確認。流出した油の可能性もあり、佐賀県有明海漁協は「ノリ養殖に影響が出ないか不安だ」と話す。
(続きはソースで)