>>2 続き
自民党改憲草案98・99条
首相に権力を集中、独裁も可能に
ヒトラー政権は「純粋なアーリア人(※4)の民族共同体」を目指し、ユダヤ人、ロマ、LGBT、障害者といった宗教的・社会的少数派を排除・圧殺していく。
※4 ヒトラーは、ドイツ人は他のすべての人種に勝る才能と生物学的な優位性をもつ「アーリア」人種と考えた。
「一方で国民の大半は平穏に暮らしていました―少なくとも開戦までは。ヒトラーのおかげで混乱した政治を脱して、強い政府が実現したと財界は歓迎しましたし、ヒトラーは失業対策に力を入れ、『いいこともしてくれている』との思いを国民に抱かせました。迫害されたユダヤ人は人口の1%未満です。少数者への人権侵害を多数派はさして重大な問題と受けとめず、基本権が失われた現実に慣れ、感性はにぶくなっていきました」
社会不安、隣国脅威論の台頭、メディアコントロール、右傾化、将来に希望をもてない若者の過激化などは、現在の日本にも重なって見えてくる……。
「ひとつ大きな違いがあります。それは、今の日本国憲法には緊急事態条項がないことです。しかし、もしも自民党の改憲草案98条・99条(※5 図表参照)にあるような条項が憲法に盛り込まれれば、濫用されてナチ前夜のような状況に陥る可能性は否定できないでしょう」
(続く)