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◆「もっと働きたかった」20代男性、2年残し比へ
「もっと日本で働きたかった」。笠戸事業所で技能実習生として働き、約二年を残し解雇されたフィリピン人の二十代男性が十八日に帰国した。
実家はコメ農家で、十代後半で父が亡くなってからは、一家の大黒柱として働き家計を支えた。妹の学費も払い続けた。
「給料はフィリピンの三倍。日本で働きたい」と、訓練学校に入学。日本語から箸の持ち方まで勉強し、配電盤の仕事をするつもりで来日した。だが割り当てられたのは、本来の実習とは思えない新幹線の天井などの組み立て。疑問に感じる日々が続いた。
職場の日本人の同僚と仕事帰りに一緒にビールを飲み、日本料理を振る舞ってもらったこともある。帰国が決まると、同僚は「寂しいが自分にはどうしようもない。また戻ってきて」と告げたという。
支援した労組「スクラムユニオン・ひろしま」によると、実習生の基本賃金は月約十三万五千円で残業代が加わる。男性は月給の七割を母に送金。「お金はいつもなかった。目玉焼きやゆで卵をおかずにして食べた」という。「本当はもっと日本で仕事を続けたい」と繰り返した。
<外国人技能実習制度> 外国人を企業などが受け入れ、習得した技術を母国の経済発展に役立ててもらう制度。1993年に創設され、期間は最長5年間。対象となる職種は16日時点で農業、建設、食品製造、介護など80に上る。6月末時点での実習生は約28万人でベトナム、中国、フィリピンの順に多い。時間外労働や賃金不払いなどの問題点が指摘されている。