無資格検査が発覚した日産自動車。
11月17日に公表した外部の西村あさひ法律事務所による第三者報告書は、五つの工場で無資格検査が常態化していた原因の一つに、
ここ数年の国内生産増加のなかで、「慢性的な完成検査員不足」が生じていたことをあげている。
第三者報告書は、工場ごとに無資格検査の実態を記載している。
国内の生産台数の半分を担う日産九州(福岡県苅田町)では、2000年ごろから無資格検査が行われていた。
そして、団塊の世代の退職の影響や、他工場への完成検査員の応援派遣により、16年ごろから無資格検査が頻繁に行われるようになったという。
この工場の人減らしの実態について、第三者報告書は詳しく記述している。
日産本社の原価低減推進室から毎年、各工場に対して労務費の「低減率」が必達目標として示される。
この低減率に基づいて、生産ラインに配置する人員を、年々減らすことが求められ、
ライン配置人数には余裕が出ることはなかったという。
このため、現場の工長から、「低減率に沿って人員が減らされるとラインが回らなくなる」などの意見が出されたこともあった。
ただし、低減率の達成が必達目標となっていることを工長もわかっていて、本当に人繰りが厳しいときしかこうした意見は出なかったという。
日産は17年間にわたって社長を務めたカルロス・ゴーン現会長のもとで劇的な業績回復を果たした。
その原動力が徹底したコスト削減と、提示した数値目標は必ず守るという手法だった。
業績回復には大きな役割を果たしたやり方だが、工場の生産現場には、「ひずみ」がたまっていたことが第三者報告書の記述でうかがえるのである。
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