広告代理店最大手・電通の石井直社長は28日夜に東京都内で記者会見し、社員の過労自殺など長時間労働問題の責任を取って辞任する意向を表明した。来年1月の取締役会を経て、3月に退くとしている。
新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)の過労自殺に絡み、厚生労働省東京労働局は28日、高橋さんの上司1人と法人としての同社を労働基準法違反(長時間労働)容疑で書類送検した。
昨年12月に亡くなった高橋さんは、うつ症状を発症する直前、労使協定で定めた上限を超える残業をしていたとして、今年9月に労災認定された。
厚労省は他の社員にも同様の違法な残業をさせていたとみて、同11月7日に電通の全国の本支社を家宅捜索。幹部らの事情聴取を進めていた。
東京労働局は高橋さんのケースを切り離して先行させ、労基法違反事件としては労災認定から約3カ月の異例のスピードで立件した。電通で常態化していたとみられる違法な長時間労働への捜査は越年して継続する。
電通では、1991年にも入社2年目の男性社員(当時24歳)が過労自殺した。2010年には中部支社(名古屋市)、14年に関西支社(大阪市)、15年に東京本社で違法な残業があったとして、各労働局から是正勧告を受けている。
高橋さんは昨年4月に入社し、インターネット広告などを担当。本採用となった同10月以降、業務が急増し、うつ病を発症したとみられる。
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