自殺に関する悩みを持つ人の相談に乗る「山形いのちの電話」(古沢茂堂理事長)が、本年度募集した新規相談員の申し込みが5日現在2人で、目標とする20人を大きく下回る危機的状況になっている。定年後の再雇用が活発になっていることなどを理由に近年、応募は低調だが、「2人は前例にない」と佐藤藤彰事務局長。募集を1カ月延長して30日までとしたが、「相談員不足が続けば存続が危ぶまれる」と危機感を募らせている。
新規の相談員申し込みは近年、10人前後で推移していた。今年は事前に11人から問い合わせがあったものの、正式な応募は2人だけ。事務局によると、背景には▽ボランティア活動の選択肢が増えた▽研修費(約2万円)が自己負担▽定年後の再雇用が定着▽専業主婦が減少―などが考えられるという。
新規相談員は相談業務を行う前にグループ研修を受けることが必須だが、講師の臨床心理士や大学教授によると、「最低5人が必要」と強調。現状では研修が行えず、新たに加入した人の業務開始のめどが立たない状況だ。
相談は1日3交代で、3時間受け持つ。シフトは1人当たり月2回が適正とされ、本県の場合は90人が必要とされているが、現在活動する相談員は74人。世代交代も進まず、過剰な負担を強いられている。
高齢化も相談員不足に拍車を掛ける。電話開設から20年が経過し、現在の中心メンバーは60~70代。親の介護や老化による体調の変化でやむを得ず、長期休暇に入る人も少なくない。中には耳が遠くなり「不誠実な対応になってしまうかもしれない」と引退を決めた人もいるという。
長年相談員を務める女性(66)は「『命』というと責任が重いと感じる人もいるかもしれない」とした上で「きめ細かい研修や周りのサポートで誰でも相談員になれる」と応募を促す。
今月10~16日は自殺予防週間として、各地で啓発活動が行われる。いのちの電話の佐藤事務局長は「ここは『生きたい』と願う人の叫びを受け止める場所。相談員への応募を考えるきっかけになれば」と期待する。
応募の受付窓口は023(645)4377。
以下ソースで
http://yamagata-np.jp/news/201609/06/kj_2016090600137.php