ジェンダーの平等の名の下に共に汗をかき、共に眠る――ノルウェーは女性に徴兵を義務付けただけでなく、戦友の男性たちと共用の男女混合部屋を提供してきた。
同国軍の男女のバランスはまだ完全に均等ではないが、1997年生まれで、この夏に徴集された兵士の約3分の1が女性だった。
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「女性がいると作戦上の利点があります。たとえば情報収集で男性では近づくことのできない人々に接近することができます」とベルグルンド中佐は語った。
ノルウェー軍が毎年必要としている新兵は1万人弱と、徴兵の対象となる6万人よりもずっと少ない。つまり、実際に兵役に就くのは最もやる気のある者だけなのだ。
ノルウェーで兵役は労働市場で高く評価される経歴とみなされることが多い。
「兵役に就くことで自立することができます。少女も少年も同じ機会を得ることは良いことです」と新兵のマリアンヌ・ウェスタム(Marianne Westum)さん(18)は語る。
「チームの一員として働くことを学び、ほかの分野の人々と友達になってもっと自立できるようになりたいです。要するにもっと成長したいです」
マリアンヌさんは兵舎の部屋をもう1人の女性、そして4人の男性とシェアしている。
迷彩服や軍が支給した水筒が金属製のロッカーにきちんと入れられており、女性の存在をうかがわせるものはブラジャーとハンドバッグだけだ。
若い男女を一つの部屋に入れても問題は起きないのだろうか?
ノルウェー国防研究機構(Norwegian Defence Research Establishment)のニーナ・ヘルム(Nina Hellum)研究員は
「お互いをさらけ出しあうことで忍耐力、寛容さが高まり相互理解も深まると考えています」と主張している。
「自分の寝床で排便をしないでしょう。たとえば自室や小隊内で誰かとセックスしたり親しく交わったりしたくはないでしょう。そんなことをしたら極めて居心地が悪くなりますからね」
2014年の研究によると、男女共用部屋はジェンダーを希薄化させるためにセクハラ対策に有効とされる。
生活エリアを共有することで、男女双方が自分たちの行動に気を付けるようになり、きょうだいであるかのような仲間意識を育むことができるという。
「最初のうちはみんなが少し恥ずかしがっていました。女の子たちの周りでどう振る舞えばいいかよく分からなかったので。
でも最初の居心地の悪さが過ぎると、みんなリラックスしました。女の子たちもすぐ私たちと同じようになりました」と若い男性新兵のカスペル・シャバグ(Kasper Sjavag)さんは語る。
シャバグさんのルームメイトの女性新兵ギーネ・グリムスブ(Gine Grimsbu)さんは、男性と一緒にされることについて
「任務遂行能力に関して言えば、間違いなく自分の限界を押し上げることができましたし、遅れを取らないように過酷な訓練を積むことにも慣れました」と語り、
「社会的な側面から見ると、男性たちは私たちをきちんと扱ってくれますし、礼儀正しいです。
女性と一緒に過ごすことに慣れない人も少しはいますが、それはそれでいいと思います」と付け加えた。
ノルウェー軍が最近実施した調査によると、女性兵士の圧倒的多数が男女共用部屋に賛成しているものの、
18%が不適切な言動やふるまいを受けたと回答した。
http://www.afpbb.com/articles/-/3098855