「ミッフィー」といえば、日本で最も有名なウサギの一人(一匹)。2015年に生誕60年を迎えた。
■ディック・ブルーナとミッフィー
ミッフィーの原作者はディック・ブルーナで、オランダの人。1955(昭和30)年ごろ、小さかった息子へ語って聞かせた子ウサギ「ナインチェ」が主人公の創作童話が原点だ。
ナインチェが、福音館書店の翻訳絵本になって日本へ紹介されたのは1964(昭和39)年。当時は「うさこちゃん」という呼び名で登場し、人気を博したという。
現在は、講談社が採用した英語圏での呼び名「ミッフィー」シリーズでも有名。絵本と併せ、キャラクターグッズなども広く販売されている。
■葛藤を抱えるミッフィー
ミッフィーは、いかにも子ども向けといった風情の「ふんわり」キャラ。絵の色使いはどぎつくなく、子どもでも認識しやすい単色が使われている。母親・父親からの高い支持もあるようだ。
ただし見た目と異なりミッフィーは、内面にさまざまな葛藤をを抱えている。葛藤は、ミッフィーが主役の絵本を読んでみるとよくわかる。
■祖母の死、そして土葬
あるエピソードは、人(ウサギ)の死がテーマ。前日の夜、何気ない会話を交わしたミッフィーの祖母が、今朝になると亡くなっていたというストーリーだ。
柔らかい布団にくるまれ棺おけに納まった祖母を前に、一同は号泣。やがて祖母の棺おけは、森の中のこけむした丘に掘った穴へ沈められ「土葬」になる。
エピソード名は、福音館書店版が「うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん」。講談社版では「ミッフィーのおばあちゃん」だ。
■出来心で「万引」も
さらには、こんなエピソードも。 カラフルなキャラメルを思わず万引してしまったミッフィーはその夜、罪の意識で不眠に陥る。思いあまって翌朝、母親に罪を告白。万引した店までキャラメルを返しに行く。
このエピソードでは、店の人や母親をはじめ、周囲の誰もがミッフィーをたしなめることがない。ミッフィーに反省を促したのは、自らの良心だったという展開だ。
エピソード名は「うさこちゃんときゃらめる」(福音館書店版)である。
イカソ
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