1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/07/10(日) 05:33:57.95 ID:bOE95Z5Z英国の欧州連合(EU)離脱という投票結果は、狂気の沙汰である。なにも英国の指導者が国民に対し、EU加盟国のメリットと移民の弊害との差を訴えたことが問題というわけではない。むしろ離脱という決断が、驚くほど低いハードルで決まったことが問題である。
投票率が70%だった現状を踏まえると、有権者のわずか36%が離脱キャンペーンに乗せられたにすぎない。これは民主主義とはいえない。“ロシアンルーレット”だ。
冷静に考えて、英国民は自分たちの選択の意味がわかっているのだろうか。議会の多数派は英国離脱を支持するのだろうか。いずれも答えは「NO」だ。今回の選択が世界経済、政治に与える影響については誰にもわからないが、おそらく美しい景色とはならないだろう。
そもそも真に民主主義的なプロセスとは何なのか。雨の中で行われた国民投票で、離脱派が52%を占めたことが民主主義的なのか。そうとはいえないはずだ。
実弾が発射されてしまった
もちろん、離脱推進派がこのゲームを発明したわけではない。1995年のケベック独立や2014年のスコットランド独立など、住民投票には十分な前例もある。しかし現在に至るまで、その銃に弾丸が込められ、実弾が発射されることはなかった。それが起きてしまったのだ。
今やゲームのルールを再考すべき時だ。多数決によって下されたあらゆる決断が「民主主義的」だという考え方を捨てるべきである。
近代民主主義は少数派の利益を保護するとともに、無知に基づく破滅的な結末を回避するために、抑制が利き、かつ均衡の取れたシステムを発達させてきた。その決断が重大かつ恒久的であればあるほど、そのハードルは高くされてきた。実際、憲法改正には、国家の予算案などよりも明らかに高いハードルが課されている。
>>2以下に続きます
2 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2016/07/10(日) 05:38:36.54 ID:bOE95Z5Z>>1続きです
国家の命運を決めるには拙速すぎる手法だった
欧州は今、EU加盟国で続々と離脱投票が行われるリスクに直面している。喫緊の課題は、これらの決断を下すための、より適した手法があるかだ。私が周囲の政治学者に聞き回ったところ、残念ながら「ない」という回答ばかりだった。
古代から賢人たちは、少数派の意見の尊重と、確かな情報に基づいた決断の重要性とのバランスを取る仕組みの構築を試みてきた。古代ギリシャの都市スパルタでは、投票は喝采によって行われた。人々は自分たちの選好の強さを声の調子を変えることで表現し、議長は注意深くその音を聞き、結果を採択した。この方式も確かに不完全ではある。しかし今回の英国の投票よりはましだったかもしれない。
1回限りの「多数決」では不十分だ
いずれにせよ明らかなのは、国家の命運を左右する決断については、やはり国民の51%ではなく、「圧倒的多数」の賛成が必要だということだ。その多数派は、時勢によって左右されるのではなく、安定している必要がある。国家の針路は、束の間の熱狂に左右されてはならない。今後、英国で経済的、政治的な混乱が表面化した場合、離脱派には「バイヤーズ・リモース(購入後の悔恨)」が蔓延する可能性もある。
繰り返すが、英国のEU離脱について、ハードルはより高くあるべきだった。たとえば第1回では60%の獲得を条件とし、2年間の間隔を空けた後、第2回の投票を課すなどの対応が必要だった。
今や英国の投票結果によって、欧州全体が混乱に陥ってしまった。今後重要なのは、世界がこの事態に冷静に対処し、かつ英国政府が事態の収束を図ることである。それにはどんな結果を出すかだけでなく、その取り組みの過程を評価することも不可欠だ。
今後、国家の独立など重要な議題には、多数決以外の要件が必要となろう。単純な多数決という方式は、私たちが今見ているとおり、混乱への落とし穴なのである。
ケネス・ロゴフ :ハーバード大学教授
http://toyokeizai.net/articles/-/125463?display=b
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