人工知能を搭載したロボットによって人類に役立たずの無益階級が出現する
無視しがたい警告だ。人間を超える知能実現を目指すコンピューター開発競争によって、
終末の瞬間を早める悪魔が目覚めることだろう。
人類はシリコン製のアシスタントではなく、アサシン(暗殺者)を作り出しているのかもしれない。
悪意を持ったAIが世界を滅ぼすという説は繰り返し唱えられてきた。
だが、知能を有したロボットがもたらす人類の運命は、本当のところそれよりもタチが悪いのかもしれない。
つまり全く役立たずの無益階級が登場するというのだ。
これはイスラエル、ヘブライ大学のユバル・ノア・ハラーリ氏が予測する未来だ。
彼は著書『Homo Deus: A Brief History of Tomorrow(ホモ・デウス:明日の歴史概略)』の中で、
人工知能を搭載したロボットによって大量の人間が仕事を奪われると主張している。
私たちホモ・サピエンスは物事を台無しにする才能があるのかもしれない。
宇宙のありとあらゆる事象を理解する全知全能の存在へと変貌を遂げるのではなく、
大勢が仕事と目的を失い、日々をドラッグやバーチャルリアリティなどに溺れて無為に過ごすようになるというのだからなんという悪夢的進化ではないか。
ハラーリ氏は、それを「無益階級の台頭」と呼び、21世紀に出現する最大の脅威の1つに位置付けている。
人工知能によって人間が職場から追い出されるようになった時代、もはや大学で何かを学ぶべきかは定かではない。
20歳のときに身につけた知識が、40歳になったときにはもう役立たずになっているだろうからだ。
気がつけば数十億の人間が無益な存在となっているだろう。
つづく