去る3月17日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(以下、全旅連)の招聘により、フランスのホテル&レストラン関連業界団体を招き
「基調講演 テーマ:民泊の不都合な真実 ~世界最大の観光大国フランスで起こっていること」と題した緊急フォーラムが都内で開催された。
フランスからは、ホテルGNI会長のディディエ・シュネ氏、UMIHホテル部門会長のローレン・デュック氏らが参加した。
「もうフランスはAirbnbにやられてしまった。日本はまだ間に合う、フランスと同じ轍を踏まないでほしい」
世界一の観光立国であるフランスから、なぜこのような悲痛な声が上ったのか。
フランス業界団体代表らは、まずは慎重に言葉を選びながらもこのように話した。
「フランスで民泊と言えば、Airbnbのことだと考えて差し支えがない状況ですが、現在フランスでは1日に1軒のホテルが廃業か倒産に追い込まれているのです」(シュネ氏)
問題はホテル業者だけではない。
「アパートなどの所有者がより利益の上がる民泊営業に物件を回したため、パリ市内の家賃相場は数年で急上昇していきました。
民泊物件へ回すために賃貸契約の約25%が契約更新されず、住人は住居を失い高額な物件を探してやむなく賃貸し直すか、
郊外へと引っ越しを余儀なくされた。特に観光客が多い地域では、住民が減り学級閉鎖に陥る学校も出ています」(シュネ氏)
住民は、Airbnbにより生活の為の家を失い、より高い物件を借りたり、賃貸更新時に値上げに応じなければならなくなってしまった。
その高額な家賃を払うために自分達が使用する部屋数を節約して減らし、空けた数部屋を利用しAirbnbで稼がなければならないという悪循環なケースもあるという。
(つづく)