日本のパソコンの代名詞だった、往年の名機「PC―98」シリーズ。スマホとタブレットがひしめく21世紀に、いまだ中古市場で根強い人気を誇る。たった80MBしかないハードディスクが1万数千円するなど、周辺機器も高値で取引され続けている。どういう人たちが買っているのか? 専門通販ショップ店主に聞いた。
■家庭向け本格PCの先駆け
PC―98は、NECが80年代から販売していた16ビットマシン。当時としては高精細なグラフィック処理を得意とし、旧来のビジネス用途のほか対応ゲームソフトもたくさん出回り、家庭向け本格PCの先駆けとも言える存在だ。ピーク時の国内シェアは少なくともビジネス向けで8割、個人向けで5割以上あったとされる。
しかし、インターネット時代に適応したマイクロソフトのOS「ウィンドウズ95」の登場や、より汎用(はんよう)性の高い共通規格のDOS/V機(いわゆるウィンドウズPC)が国内外のメーカーから多く出回るようになると、独自のソフトやハードが逆に足かせとなりシェアが低下。旧来の規格を土台にウィンドウズに対応していったが、ウィンドウズ98SEを積んで2000年6月に発売された「PC―9821NR300/S8TB」が最終モデルとなった。
■ジャンク品でも数万円で出品
さらに時代は下って、ウィンドウズPCの全盛期も過ぎて情報通信の主役がモバイル端末に移りつつある2016年。完全に使命を終えたかに思えたPC―98だが、ネット通販などでは根強いニーズに裏打ちされた高値取引が続く。オークションサイト大手「ヤフオク!」では、「PC―98」カテゴリーで1400件超の出品がある(5月4日時点)。動作を保証しないジャンク品でさえ数万円で売り出されている。
今もって愛用し続けているのは、一体どういった人たちなのか?
PC―98シリーズを専門に扱う修理販売ショップ「PC―98のミシマ」(静岡県伊豆の国市)の店主・井口智晴さん(34)によると、工場での生産ライン管理や、部品を設計・製図するCAD(キャド)システムを動かすのに活躍しているという。
以下ソース
http://www.asahi.com/articles/ASJ5432RSJ54UEHF001.html