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◆世界で5兆個 マイクロプラスチック 国際的課題に
世界の海には5兆個のマイクロプラスチックが漂っていると推定され、プランクトンの数より多い海域もあるとされる。食べた生き物の体内に、プラスチックに付着した有害化学物質が蓄積する恐れも指摘されており、昨年の主要国首脳会議(サミット)で対応策が議論されるなど国際的課題になっている。
海外では、米国や英国、インドネシアでの調査で魚からプラスチックが検出されているほか、ウミガメやクジラ、二枚貝からも見つかっている。また海鳥全体では、90%の胃腸にプラスチックが取り込まれているとの推計もある。
高田教授によると、プラスチックは海に溶けたポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害化学物質を吸着して濃縮する性質があり、これを摂取した生物の脂肪に蓄積される可能性がある。
こうした懸念から、昨年ドイツで開かれたサミットでは、プラスチックを含む海洋ごみの対策強化が首脳宣言に盛り込まれ、国連主導の実態調査も始まった。
高田教授は「海へ流入するプラスチックは、分解が極めて遅くどんどんたまる。手を打たなければ今後20年で10倍になるという推定もある」と警鐘を鳴らす。
<マイクロプラスチック> 大きさが5ミリ以下の微細なプラスチック。ごみとして海に流れ込んだ包装容器などのプラスチック製品が紫外線や波により、破片になったものが大半を占める。他に、洗顔料などに使われるマイクロビーズや、化学繊維から出る糸くずなどがある。環境省の調査では、日本周辺海域の1平方キロ当たりの量は、世界の海の平均に比べ27倍に上った。環境中の有害化学物質を吸着する性質があり、誤飲した鳥や魚などへの影響が懸念されている。世界の海に漂うプラスチックごみは今後も増え続け、2050年までに重量換算で魚の量を超すとの予測もある。
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