SEALDsへのネガキャンのためならデマも捏造も厭わないことで有名な産経新聞ですが、中学校公民レベルの知識すら勘違いしていたことが判明しました。
問題なのは3月29日の安全保障関連法の施行に合わせて行われた国会前でのデモ行動に関する記事。その中で産経新聞はSEALDsの奥田愛基氏のスピーチに関して以下のように報道。
> 民進党の結党大会で来賓として呼ばれたシールズの奥田愛基氏は「憲法を守りますか、日本の総理大臣を守りますか。憲法を守るでしょ。この国の歴史をバカにしないでください。この国に生きる人々をバカにしないでください」と絶叫した。首相に対し「国民ていうのは、あんたのおもちゃじゃないし、あんたのものでもない」と訴えた後、「この国の最高責任者はあなたじゃない」と、意味不明な独自の見解を披露した。
http://www.sankei.com/politics/news/160329/plt1603290073-n2.html
首相に対して「この国の最高責任者はあなたじゃない」と言ったことを、産経新聞はなんと「意味不明な独自の見解」であると述べているのです。
どこからどう考えても内閣総理大臣は日本の最高責任者ではありませんし、そのことは完全に中学校公民レベルの一般常識です。日本国憲法第41条には
> 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
とあるように、国家権力の最高機関は国民の意思で選ばれた政治家からなる国会であることは一目瞭然。そして国会が行政や司法に優越することはなく、三権分立としてそれぞれが互いに抑制し合っているのが現在の日本の権力のあり方です。
内閣はその三権の一角の行政府であり、内閣総理大臣は単に「行政府の最高責任者」であるに過ぎません。それを産経新聞が「この国の最高責任者」と呼ぶのであれば、それは明確な勘違い、もしくは意味不明な独自の見解と呼ぶほかありません。
確かに安倍首相は2014年2月12日の衆院予算委の集団的自衛権を巡る答弁で「最高責任者は私です」と述べたことを始め、しばしば自身を「最高責任者」と表現していることは事実。ですが、これは当時自民党内からも異論や批判が噴出した程に危険な発言。
「何をしても良いのか」総理発言に党内から異論
ある種のレトリックとして用いるにも身内からすら批判されるレベルに不適切な表現であることは明らかであり、もし産経新聞が安倍首相の発言を真に受け、中学校公民レベルの一般常識にすら目をつむって安倍首相を「この国の最高責任者」であると考えるなら、それはもはや異常を越えて盲信の域に入ります。
そして、驚くべきことにこの産経新聞の系列の出版社は公民の教科書を作っているのです。その出版社とは、予想が付いた方も多いかもしれませんが、フジサンケイグループ傘下の出版社、扶桑社が100%出資した子会社、あのトンデモで有名な育鵬社です。
かつては江戸しぐさというデマを掲載し、現在もサムシング・グレートというトンデモを平然と載せ続ける育鵬社が産経新聞と同系列というのはある意味納得のいくところ。
また、産経新聞は今月に入って難関中学が慰安婦の記述を唯一載せる歴史協会所を採択したことに難癖を付けていましたが、中学校公民の教科書に書いてあることすら理解せず、堂々と紙面で意味不明な独自見解を垂れ流すような新聞社に非難されても難関中学側としては「いい迷惑」としか言いようがありません。
ソース
【悲報】産経新聞、総理大臣が「この国の最高責任者」だと勘違いしていたことが判明 | BUZZAP!(バザップ!)
http://buzzap.