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市内の自営業女性(66)は20年以上、統合失調症の長女(44)の通院を送迎してきた。市立病院側の勧めもあり、村山地域の病院に行くことを決めた。これまで仕事で送迎できないときは、長女が通う障害者施設の職員が送ってくれることもあった。今後はそれも難しくなる。それでも、入院施設がある病院を選んだ。「自分も年をとる。体力的にも心配はある」とつぶやいた。
さらに心配なのは環境が変わることだ。「知らない病院に行くことは本人も不安だろうが自分も不安」。夫が十数年前に亡くなり、ずっと診てくれた医師や看護師への相談は心の支えになっていた。これまでも主治医が代わる度に長女の症状は不安定になっていた。「また一から…」と声を詰まらせた。
総合病院の必要性を訴える声も聞かれる。会社員男性は市内の診療所を紹介されたが、あえて市外の総合病院を選択した。「家族がいる身。子どものことを考えると、近所の目が気になる」。精神科を専門にする医療機関への通院には抵抗がある。まして近くとなると誰が見ているか分からない。市外への通院は時間も負担も大きくなるが「仕方がない。人目に触れるよりはいい」。若者の引きこもり支援などに携わる精神保健福祉士は「思春期の若者の多くは精神科への通院を隠したい。総合病院に精神科がある意味は大きい」と訴える。