医師確保ができず、3月末に予定される米沢市立病院神経・精神科の閉鎖まで約1カ月に迫った。25日現在、通院患者99人の転院先が未定だ。市は山形大医学部から医師1人の派遣を5月末まで延長してもらい、診察・紹介を継続するとしているが、全員の転院先確保の見通しは立っていない。患者の負担増は避けられず、新規の受診者の対応など地域の医療水準維持の観点からも課題は多い。依然として行き先が決まらない患者に加え、転院を決めた人や家族からも不安の声が聞かれる。
市立病院に10年以上通院している女性(30)は今も転院先が決まっていない。1月の受診時に、市内の診療所への紹介状を書いてもらっていたが、仕事に追われ予約を先送りしているうちに診療所の受け入れが飽和状態となった。市外に通院するにも長距離の運転は自信がない。各駅に止まって人が乗り降りする電車やバスはストレスになる。市が市外通院者のために用意するとしているバスも使うことができない。何度か1人で行ったことがある山形市まで新幹線で通うことを考えている。車にしろ、新幹線にしろ交通費の負担がのしかかる。
市内に精神科の入院施設がなくなることに不安を抱く患者や家族は多い。会社役員の男性(68)は重度の精神疾患を抱える妻(64)が3年ほど前まで5年にわたって市立病院に入院。その後は通院して治療を受けてきた。市内の診療所への転院が決まったものの、「自分も何があるか分からない。病状が悪化したときに入院する施設が近くにあれば安心なのだが…」。
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