安倍晋三首相は十日の衆院予算委員会で、国民の知る権利を侵す恐れのある特定秘密保護法に関して、国の安全保障に著しい支障を与えると判断した場合、行政機関への特定秘密の提供を拒否できるとの秘密保護法の規定が会計検査院にも適用されるとの認識を示した。同時に、実務上は提供を拒否することはないとも指摘。野党は法律と実務に矛盾があると追及した。
秘密保護法第一〇条一項は、わが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めたときには、特定秘密の提供を拒否できると定めている。
民主党の階猛氏は、この規定が検査院への提供にも適用されるのかと質問。首相は「かからないことではない」と述べ、法律上は適用対象となると明言した。
憲法九〇条は、検査院が国の全ての収入支出を検査すると定め、内閣官房も昨年十二月、秘密指定権限を持つ防衛省などの行政機関に検査院からの資料要求に応じるよう通達したばかり。
予算委で、岩城光英法相も「第一〇条一項は検査院にも適用される」と説明。同時に、内閣官房の通達を踏まえて「秘密事項の提供の取り扱いは何ら変更はない」と、実務上は提供を拒まないと説明した。これらの答弁に対し、階氏は「秘密保護法第一〇条一項が空文化する」と指摘した。
ソース
東京新聞:会計検査院に特定秘密提供 首相「法律上は拒否可能」:政治(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021002000277.html