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つづき
勤務先社長「介護で疲れていた」
殺人容疑で逮捕された19歳の少年は、 血縁上は祖父母にあたる60代の夫婦と数年前から
同居し、高校卒業後は兵庫県佐用町の土木建設会社に勤めていた。
高校時代、無遅刻・無欠席で成績も上位の少年を採用した社長(54)は、「真面目でおとなしい
模範的な子だった」と事件に驚き、 「仕事ができないくらい家族の介護で疲れていた」と明かした。
社長によると、少年は卒業後すぐにアルバイトを始め、「早く一人前の現場監督になって、道路
や橋を造りたい」と希望を語っていた。
「家の跡継ぎのため養子になった」といい、祖父母の暮らしを楽にしようと、自分の小遣い1万円
を除いて給料全てを渡していたという。
人工透析の副作用で体が痛む祖父の背中を一晩中さすったり、ほころんだ作業着を自分で
直したりしていたという。
昨年末ごろから祖父の体調が悪化すると欠勤が増え、自分も体調を崩して1月10日ごろから
20日間続けて休んだ。
2月は2~4日まで通常通り出勤し、事件が発覚した5日も午前7時すぎに出勤して隣町の作業
現場に向かった。
午後1時すぎ、少年から社長に「じいちゃんが透析治療に行っていないと連絡があったので、
会社の車で家に向かう」と電話で知らせてきたという。
近所の住民らによると、少年は高校時代から家の農作業を手伝い、高齢で体調の悪い祖父母
に代わって町内の水路掃除や草刈りにも加わっていた。
口数は少なく、黙々と作業をしていたという。
別の男性(63)によると、5日午後、サイレンを聞いて現場に駆けつけると、少年が警察官と
一緒に家から出てきた。
男性が「どないしたんや」と尋ねると、「病院から『(祖父が)透析の予定だったがまだ来ない』と
連絡があり、仕事の途中だったが、おかしいと思って帰ってきた」と説明。
落ち着いた様子でパトカーに乗り込んだという。
男性は「表情も変えず、全く慌てていなかった。今思うと、おかしかっ た」と振り返った。
【川畑展之、五十嵐朋子、井上卓也】