中目黒、二子玉川エリアの住人は早めの決断を
さらに、ここへきて「チャイナ・ショック」が勃発、手元の現金確保のために中国人オーナーの「売り」が一挙に出るとの噂も浮上している。もし現実となれば、タワーマンションの暴落劇に発展しかねない。
「相続税評価額を割安に抑えられるとして、節税対策でタワーマンションを購入している日本人の富裕層も多い。が、国税当局がいまこの節税スキームを規制しようと動き出していると言われており、近いうちに『タワマン節税』はできなくなる可能性がある。おのずと相続対策狙いの富裕層はタワーマンションから離れていくことになる。すでに湾岸の中古マンションには売りが増えてきているとも聞きます」(前出・牧野氏)
2020年を待たずして、「暴落」の足音は迫りつつある。
そもそも、人口減少社会に突入した日本では、マンションはすでに供給過剰。それなのに、安倍政権はジャブジャブと市場にカネを流すことで、株式市場と同様に、バブルを作って「マンション相場」を演出してきた。
「今年1-6月期、東京23区内の分譲マンション価格は8年ぶりに6000万円を突破した。リーマン・ショック前、'07年のミニバブルと呼ばれた時期よりも実質価格は上がっています」(みずほ証券チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏)
だが、見てきたように、多くのマンションの内情は傷つき、壊れ、根元から崩れ落ちようとしている。その実態が表沙汰になった時、「上げ底」になっていただけ余計に、大きな暴落劇が巻き起こることになる。
「特にイメージ先行で価格が上がっているエリアは、市場の熱が冷めた時、大きな価格の見直しが入るでしょう。東京では中目黒、代々木上原、二子玉川などは要注意です。
特に中目黒は谷底の地形だし、二子玉川は川沿いの低地。地形的に決して高級住宅地の条件を備えていないにもかかわらず価格が暴騰した分、谷が深くなる危険性がある。これらのエリアに住んでいる人で、そろそろ売却をと考えていた人は、早めに決断したほうがいいかもしれない」(ディー・サイン不動産研究所所長の吉崎誠二氏)
かつて夢のマイホームとして人気を博し、サラリーマン家庭が殺到したニュータウンのマンションは「冬枯れ物件」に成り果てた。同じことがこれからは、都心の優良物件へと広がっていく。
先に逃げた者ほど被る損は少なくなる。残された時間はすでに少ない。