マイナンバー、国の配慮ない姿勢に異議あり なぜコールセンターが有料でしかも高いのか
国のコールセンターがつながらない。つながっても2~3分待たされるのはざらだ。10月5日にマイナンバー法が施行され、相談が殺到しているためだろう。
電話をかけると、「ナビダイヤルで20秒10円の料金がかかります」というアナウンスが流れる。
次に自動音声メッセージが流れ、「法人・士業(税理士、社労士)と一般個人どちらですか?」と聞いてくる。自動音声が流れている間も時間が経過、課金されていく。ようやくつながった。
「ただいま回線が大変混み合っています、改めておかけ直しいただくか、このままお待ち……」
メッセージが流れた途端、おカネがもったいないので、電話を切った。
2015年10月5日時点の住民票情報を基に、日本に住む住民1人ひとりに付与されるマイナンバー(個人番号)。
10月20日から11月末にかけて、12ケタのマイナンバーを記した「通知カード」が、全国5600万の世帯ごとにまとめて郵便局から簡易書留で配送される。実際の利用は2016年1月1日から始まる予定だ。
筆者が次に電話をしたのが、世田谷区のマイナンバーコールセンター。自治体は基本無料(一般電話)である。世田谷区は都内でもいち早くコールセンターを設置した先進自治体でもある。
さっそく「あの、100人以下の中小規模事業者の軽減措置についてお聞きしたいのですが」と切り出すと「それはこちらではわかりません、国のコールセンターに電話して下さい」と返されてしまった。
一定の基礎知識があれば答えられる内容で、それほど難しい質問ではないのにかかわらずだ。
自治体はマイナンバーの諸手続に関する窓口となるため、職員は勉強しているはずだが、たまたま知らない担当者に当たってしまったのか。
ちなみに、すべての自治体がコールセンターを用意しているわけではなく、早くから取り組んでいるところと、そうでない自治体の温度差が激しいのも現実。
神戸市のようにフリーダイヤルの0120で通話料がかからない配慮をしている自治体もあるが、少数派だ。
(略)
現在、マイナンバー法が施行されてから1週間経ったが、今後電話相談が一層増えると予想される。個人番号通知カードが各世帯に届き始める20日過ぎからは、個人からの問い合わせも多くなるだろう。
そうだとすれば、なぜ国の都合で進めるマイナンバーについて、国が運営するコールセンターが有料でないと利用できないのかという疑問が沸いてくる。
昨年10月から始まったコールセンター業務も、ちょうど1年経つ。見直す余地はないのだろうか。
この点を問い正すため、内閣官房の社会保障制度改革室に電話をしたら、担当者は「苦情電話が増えている」ことを率直に認めた。
「無料化の検討はしているのか」と聞いたら「マイナンバーコールセンター業務は2016年9月30日まで。入札で決めたことであり、いまさら無料化の変更はできない」という趣旨の返答だった。
ただ、国の関係者の中には「個人的には無料にすべきと思う」という声もある。
そもそもマイナンバー対応で、企業や士業が支払うコストは、国ではなく企業や士業自らが負担している。
国がマイナンバーを推進普及させたいならば、国民や企業の協力を得なければ進まない。
にもかかわらず、単に有料というだけでなく相対的に割高な通話料を国民に負担させるのは、配慮がなさすぎる。
http://toyokeizai.net/articles/-/87750