広まるか、ウナギ味ナマズ=代用品、近大が開発-試食で好評「違い分からず」
クロマグロの養殖に成功した近畿大が、今度は同様に絶滅が危惧されるウナギの代用品となるナマズを開発し、普及に向け奔走している。東京や大阪などでかば焼きをテスト販売したところ、相次ぎ完売。評判は上々で、今月24、25日には岐阜県羽島市で行われる「なまずまつり」で、「ナマズ丼」を1日200食限定で販売する。
祭りに先立ち、5日に行われた試食会。長良川など大河に囲まれ、「ナマズやウナギなど川魚を食べ慣れている」という同市関係者らが通常のナマズと改良品種のかば焼きを食べ比べた。見た目には区別が付かないが、口に入れると身が崩れやすいナマズに対し、改良品種は弾力があり脂がのった味わい。参加者は口々に「ウナギと区別が付かない」と舌鼓を打っていた。
ナマズを改良したのは、近大農学部水産学科の有路昌彦准教授(40)。ウナギの激減が指摘される中、「ウナギのかば焼きは日本人が大好きな味。何とかできないか」と考え、2009年にウナギの養殖業者が施設をそのまま流用できるナマズの改良に着手した。
ナマズは「世界でもっとも食べられている養殖淡水魚」(有路准教授)だが、国内であまり受け入れられない理由の一つに、独特の泥臭さがある。有路准教授らは原因を河川の中にいる特定のバクテリアと分析し、地下水で育てることで臭みを消した。
さらに、餌にエビなどの甲殻類を多く与えることで、ウナギそっくりの弾力感を得ることに成功した。かば焼きにする際は淡泊な味を補うため、ウナギより甘く濃いタレを使うことで味を再現した。コストはウナギの半額程度に抑えられる見通しだ。
近大はPRを兼ね、各地で改良品種を使った料理のテスト販売を行っている。「なまずまつり」は、祭りの知名度向上を狙う羽島市側との利害が一致した形だ。
有路准教授は「稚魚を育てる体制づくりが今後の課題」と話す。生産拠点を増やす足掛かりとして、今後もPRを続けていきたい考えだ。(2015/10/10-05:01)
ソース
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015101000049