【フランクフルト=加藤貴行】独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験の不正問題で、欧州連合(EU)が2013年の時点で、排ガス量を不正に操作するソフトウエアの問題を把握していたと欧州の複数のメディアが報じた。EUも以前から違法性を認識していながら厳しく追及していなかったことになり、EU側の責任も問われそうだ。一方、スイスの交通規制当局がVWの一部ディーゼル車の販売禁止を決めたほか、各国の当局が相次いで不正問題の調査に乗り出した。
欧州メディアの報道によると、EUの欧州委員会共同研究センターの調査で、ディーゼル車から試験時の排ガス量を実際の走行時よりも少なくするソフトウエアが見つかった。EUではこうしたソフトは07年から違法になっていたが、「規制当局は問題を追及しなかった」(英紙フィナンシャル・タイムズ)という。
別の科学者グループが11年の時点でVWの違法ソフトの存在を指摘していたとの報道もある。
VWの排ガス不正は18日の米環境保護局(EPA)による発表で公になった。その後、14年時点で米ウェストバージニア大学が実施した試験で確認されたこともわかっている。ただ、EUはそのさらに前から事態を把握していたことになる。
EUはこれまで燃費性能に優れたディーゼル車を推進する立場だった。域内の新車販売の約5割を占めるまでになり、さらに欧州発の「エコカー」として域外への普及も後押ししてきた。VWの不正を長期にわたって放置していたとすれば、EUの環境規制の運用そのものが問われることになる。
以下ソースで
http://www.nikkei.com/article/DGXLNSE2INK01_W5A920C1000000/