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戦後、ギリシャとドイツの間の関係が今ほど悪化したことはない、とアナリストたちは言う。今回の支援条件がもたらした
恨みは、第二次大戦の古傷も疼かせている。大戦下、ギリシャはナチスによる苛酷な占領を経験したのだ。
第三者の多くを驚かせたのは、両陣営があまりにあっさりとステレオタイプ化の罠に陥ったということだ。ギリシャは信用の
おけない怠惰で無能な国、ドイツはアンゲラ・メルケル首相が率いる「第四帝国」、というわけだ。
ギリシャを監視の対象とすることにより、EU自体ではないにせよ、ユーロの緩やかな死は始まったかもしれない、と一部の
専門家は言う。「金融支援策をまとめるドイツが行ってきた根回しはすべて、ギリシャのユーロ離脱を意図したものだ」と、
元IMF(国際通貨基金)欧州局部長のピーター・ドイルは言う。「今回の支援策は、うまくいかないように作られた」
地政学が専門のコンサルティング会社ユーラシア・グループ代表のイアン・ブレマーはこう語る。「EUは連帯や協調の理想
を忘れ、効率化を押し付けるだけの血も涙もない組織になった」
その意味では、EUも既に死んだのかもしれない。