こうした投資はすぐに成果が出るわけではなく、費用が先行するため、短期的な業績にはマイナスとなる。
そこで長期的な視点で次世代技術の開発投資に賛同してくれる株主を増やすことを考えてきた。
3年ほど前からさまざまな手法を検討。2014年末から証券会社や弁護士などのワーキングチームを設置しスキームを練り上げた。
「AA型」とは1936年に発売したトヨタ初の量産乗用車のこと。
種類株にこの名前を冠したのは、創業時と同じように、新たな挑戦を応援してもらいたいとの思いからだ。
調達金は、「チャレンジの起点となる資金」という位置づけだが、前例のない仕組みが物議を醸している。
議決権行使助言会社の最大手、米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、
社債や優先株などより調達コストが安いのか疑問がある、安定株主を増やすことが経営の規律を失わせる、といったことを理由に反対を表明。
米国の大手年金基金のカルスターズは6月8日、種類株の議案に反対すると発表した。
一方、ISSのライバルである米グラス・ルイスは、財務の柔軟性を高めると賛成の立場を取った。
バークレイズ証券の吉田達生アナリストも「自動車会社の経営には長期的な視点が間違いなく必要。
長期保有の株主が経営に甘いとは限らない」と、今回のAA型の発行に理解を示す。
種類株発行の議案について、あるトヨタ関係者は6月初め、
「3割の機関投資家は(反対を表明した)ISSに賛同、3割は賛成、3割が決めかねている、というイメージではないか」と、慎重な票読みをしていた。
http://toyokeizai.net/articles/-/73136?page=2