>>1,4 つづき
もう一点気になるのが「異なる立場の人への敬意のなさ」だという。例えば??。
「与党側はこんなに静かに礼儀正しく聞いてるじゃないですか。みなさんも少しは見習ったらどうですか」▽「議論の妨害はやめていただきたい。学校で習いませんでしたか」▽「我々は国民の生命と幸せな暮らしを守る責任があるわけです。大きく変化する安全保障状況に目をそらすわけにはいかない。(民主党衆院議員の)長妻(昭)さんにそれはないかもしれませんが」(いずれも27日)
政治的立場の違いを尊重しあうのは、自らの主張が誤っている可能性があるためで、議論の前提、ひいては民主主義の基 本だろう。
議院内閣制の先輩・英国議会に詳しい高安さんは「英国議会での議論が常に充実しているわけではありません。しかし、答弁する側は、野党議員も国民の代表であることに敬意を払い、厳しい質問にも誠実に答えるのが常識です。安倍さんの言葉からはそういう姿勢や品位が感じられません」と嘆いた。
◆「武力行使はホルムズ海峡での機雷除去しか今は念頭にない」
◇「最前線・沖縄、隠す狙い」
米軍基地が集中する沖縄では「安倍語」はどう受け止められているのか。
沖縄県在住の映画監督、三上智恵さん。
政府が名護市・辺野古沖に進める基地建設に反対する住民を描いた「戦場ぬ止み (いくさばぬとぅどぅみ)」が公開中だ。
首相が「武力行使はホルムズ海峡での機雷除去しか今は念頭にない」と強調するのは「カムフラージュだと思う」と言うのだ。
どういうことか。
「米国は中国海軍の動きを封じ込めるため、沖縄の自衛隊の活用を考えています。万一、米中の軍事衝突があった場合には、日本が集団的自衛権を行使すれば共同対処できるという思惑がある。
つまり米中間の戦争に日本が参加することになり、最前線の沖縄がその舞台にされてしまう。
例えば宮古島には軍艦を撃沈する自衛隊の地対艦ミサイル部隊の配備が予定されており、攻撃対象になりかねない。
安倍首相は『石油がなくなったら大変』というわかりやすい例を繰り返すことで、沖縄で起きている事態から目をそらさせようとしているのでは」
「安倍語」は国民の不安を減らすどころか、かえって増大させたのではないか。
このまま審議を終わらせ、採決に持ち込もうとするなら、それは許されない。【江畑佳明】