汚染水の「浄化完了」 福島第1原発、62万トン
東京電力福島第1原発の地上タンクに保管されている高濃度の汚染水について、東電は27日、ポンプで吸い上げられないタンク底部の水を除き、全量約62万トンの浄化処理が完了したことを明らかにした。
全量浄化により被曝(ひばく)リスクは大幅に下がる。
浄化処理では、汚染水全体の3%に当たる塩分濃度の高い汚染水約2万トンの浄化処理が課題となっていたが、浄化装置の運転方法を改良するなどして想定よりも早く完了した。
全量浄化は平成25年9月、26年度内に処理を終えることを安倍晋三首相に約束していたが、放射性物質を取り除く「多核種除去装 置」(ALPS(アルプス))のトラブルなどで遅れていた。
東電は 今年1月、年度内の全量処理を断念し、5月末までの完了を目指して いた。
ただ、ALPSでは62種類の放射性物質が除去できるが、目標達成に追いつかないため、ストロンチウムだけを処理する設備も活用し、約18万トンを処理。
東電が今回、「浄化完了」とする水には、 ストロンチウム以外の放射性物質が残っているものもあり、今後の再浄化が必要となる。
さらにALPSで唯一取り除けないトリチウム(三重水素)の処理も課題が残る。
政府は委員会を設置し検討を進めているが、対策に難航している。
福島第1原発では、山側からの地下水の流入で、1日約300トンの汚染水が増加。
地下水の流入を防ぐため、現 在、1~4号機の建屋周辺を取り囲む「凍土遮水壁(とうどしゃすいへき)」の試験運用を始めている。
http://www.sankei.com/affairs/news/150527/afr1505270019-n1.html