関西地域の介護会社「寿寿」(大阪府東大阪市)が、フィリピン人女性を介護職員として採用する際に、本人が死亡しても会社の責任は問わず、
「永久に権利放棄する」との誓約書を提出させていたことが12日、共同通信の取材で分かった。
フィリピン人の女性職員からは「労働条件が厳しい」との苦情が出ており、宿直勤務を月間13回させた書類も残っている。
職員が死亡した場合に会社を免責する誓約書に署名させていた理由や、休日取得などの実態について、厚生労働省が調査に乗り出した。
政府は介護分野の外国人労働者を増やす方針だが、雇用契約や労働条件に問題がないか監視する対策が求められそうだ。
「寿寿」は大阪府や奈良県で13施設を運営しており、2009年ごろにフィリピン人女性の採用を始めた。
フィリピン人女性の証言や契約関連の文書によると、「寿寿」の関連団体「まごのてフィリピン」がマニラで職員採用の集団面接を実施した際に、英文と和文の「権利放棄証書」を配布した。
「自然な状況」で本人が死亡しても、刑事、民事のいずれでも寿寿を責任追及の対象にしないと書かれていた。
寿寿側は「あなたを守ってくれる書類だ」と説明。これまでに延べ30人程度が文書に署名、提出させられたとみられる。
寿寿を傘下に置く一般社団法人「キョーエイグループ」の児林秀一理事長は取材に「現時点ではコメントを控えたい」と話している。
女性の多くは、40代の子育て世代。かつて日本人男性との間に子どもをもうけ、在留資格を持っている。
休日が少ないことや、宿直勤務の厳しさを支援団体などに訴えている。寿寿が立て替えた渡航費など数十万円を借金として抱えており「転職したくてもできなかった」(元職員)という。
政府はフィリピン、インドネシア、ベトナムの3カ国に対し、経済連携協定(EPA)に基づいて介護労働の門戸を開いた。
これとは別に、在留資格を持つ多くのフィリピン人女性が国内の介護施設で働いている。ただ、「就労人数などは把握していない」(入国管理局)という。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/07/13/kiji/K20140713008554630.html