苦しくてもその仕事に目的や意味があれば、人は耐えることができる。
残業や徹夜続きでも、サラリーマンは何とか我慢して生きていくものだし、時には、「楽しくてたまらない」という者も現れる。
では、「ここで君にはやるべき仕事はない。辞めるまで給料は出す」と上司に告げられたらどうだろうか。
「頑張る必要はない。努力するとしたら、この会社を出ていく努力だよ」と。
「リストラ部屋」の人々はそんな通告を受けて、「キャリア開発室」という名の部屋に収容されている。
表向きは「社員がスキルアップや求職活動のために通う部署」と説明されていたが、
実際は仕事だけでなく働く意味や目的を奪われ、会社から出ていくことを期待されている面々だ。
そんな彼らを訪ね、聞き取りを始めたのは2012年秋のことである。
(著:清武英利)
http://toyokeizai.net/articles/-/67152