トップの港区と熊本県球磨村、格差6.5倍
全国1741市区町村の納税者1人当たりの年間平均所得について格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに求めたところ、2013年に係数が上昇し、格差が広がったことが毎日新聞の調べで分かった。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」による株価上昇で大都市部の一部自治体で住民が所得を伸ばしていることが背景にあり、アベノミクスが地域間格差を拡大させていることが数値で裏付けられた。
毎日新聞は、総務省が毎年公表する「市町村税課税状況等の調(しらべ)」で、市区町村別の課税対象所得の総額を納税者数で割った額を平均所得と算定。
04~13年の10年間でジニ係数を求めた。その結果、構造改革を進めた小泉純一郎政権後半の04~06年に係数は大きく上昇したが、08年秋のリーマン・ショックを経て09年に下降。
その後民主党政権下は横ばいだったが、12年末に自民、公明両党が政権を奪還し、安倍晋三首相が政権を運営した13年は7年ぶりに大きく上昇した。
この間、アベノミクスによる大規模な金融緩和で13年末の日経平均株価は12年末比で1.6倍に上昇した。
13年の課税対象所得の内訳をみると、勤労者の給与や自営業者の所得などは前年比0.8%増とほぼ横ばいだった。
これに対し、短期の不動産売買による所得は1.4倍、株式譲渡や上場株式の配当による所得は3.1倍に膨張。これらを合わせた13年の資産所得の合計は7兆3953億円で、前年比3兆683億円(70.9%)増となった。
平均所得が最も高かったのは東京都港区。13年は、12年比40.5%増で1200万円の大台を突破し、7年連続でトップを維持する。
一方、平均所得が最も低いのは熊本県球磨村(人口4207人)で193万9000円。12年比2万5000円増で、港区との所得差は4.7倍から6.5倍に拡大した。
平均所得トップ10の大半は、ホタテ漁が好調な北海道猿払村などを除き東京都区部が占めた。
神野直彦・東京大名誉教授(財政学)の話 結果を見れば、安倍政権下で地域間格差が拡大していると判断してよい。
賃上げや地域経済活性化への地道な努力より、資産所得、特に株の保有や売買が所得の伸びを決め、アベノミクスの当然の帰結だ。
株式保有者がいる地域がより豊かになり、トリクルダウン(富の滴り)が働いていないことを示している。資産所得への課税強化など手を打たないと格差は拡大する一方だ。
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