なぜナッツ・リターン事件は異常に面白いのか?日本の事件報道、外注化による気楽さと弊害
文=大石泰彦/青山学院大学法学部教授
http://biz-journal.jp/2015/02/post_9073_2.html
例えば、昨年には韓国で多数の乗客を乗せたフェリーが転覆する
事故が起きた。泣き叫び、怒りをあらわにする被害者やその家族。
手錠をつけているような状態でさらし者にされる船長や航海士。
後手に回る当局の対応と焦り……。いずれも、今の日本では
表立って扱えない話題であり、映像である。
しかし、国内で起きたことではないというだけで、我々はそれを
“楽しむ”ことができる。人権やその他の問題に縛られない映像は
ドラマとしての迫力を持っているし、その背後にある社会問題を
考えないで済む気楽さは、格別のものだ。さらに、それらの報道
は時に私たちに「隣国は遅れている」「私たちは日本人でよかった」
という安堵感や優越感すら与えてくれる。