歳出減の自治体に補助厚く 諮問会議、民間議員提言へ
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)の民間議員の歳出抑制に関する提言が14日、明らかになった。
医療やインフラ整備などの行政コストを大きく削減した自治体を財政面で優遇する仕組みの検討を求めた。
自治体に対して一律の歳出削減目標は設けず、自主的な取り組みを促す。
16日の諮問会議で、伊藤元重東大教授ら民間議員が提言する。
政府が今夏にまとめる財政健全化計画に反映させる考えだ。
提言は社会保障や公共事業、地方行財政の3分野からなる。
社会保障では国や都道府県が国民健康保険に拠出する「保険料調整交付金」(7900億円)を医療費の実績だけでなく、
抑制額などに応じて配分するように改める。過度な受診や投薬などが適正化されると、膨張する医療費の抑制が見込まれる。
新薬より割安な後発医薬品(ジェネリック)の利用目標を達成した自治体に支援金を多く配分。
医療機関が受け取る診療報酬を変えて病院の病床再編を進めれば、過剰な病床の削減につながる。
インフラ整備では自治体に頼らず独立採算で運営するPFI(民間資金を活用した社会資本整備)の活用を進めることを提言。
自治体がPFIを採用する際、地方交付税や税制面などでも公共事業と同等の条件となるよう制度改正する。
地方行財政では、行政効率の良い自治体に地方交付税の基準をあわせることで遅れている自治体への取り組みを促す。
ただ、こうした手法は自治体の自発的な取り組みに委ねる面が強いだけに、実際にどれだけ抑制効果があるかは未知数だ。
内閣府は高い経済成長を見込んだ場合でも2020年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は9.4兆円の赤字になるとの試算を示しており、さらなる歳出削減策が不可欠だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H35_U5A410C1EE8000/