[31日 ロイター] - 欧州連合(EU)のどの国でも、中国やロシアにおいてでさえも、牛肉や豚肉を食べるときに化学物質「ラクトパミン」の
ことを気にする必要はない。これらの国では、家畜の成長促進剤としてラクトパミンを使用するのを禁止しているからだ。
しかし、米国で肉を食べるのなら、消費者は用心すべきだ。ラクトパミンは豚などの家畜にとって間違いなく安全ではないばかりか、それを
食べる消費者にとっても安全ではない可能性がある。ラクトパミンは多くの豚に歩行障害などを引き起こしたり、死に至らしめたりしている。
米国の養豚業者は、食肉処理場に豚を出荷する前の数週間、成長を速めて赤身肉を増やす目的でラクトパミンを飼料に添加する。
養豚業者だけでなく、米経済誌フォーチュンによると、肉牛農家もラクトパミンに殺到している。大手食肉加工会社が、別の成長促進剤
「ジルマックス」を与えられた肉牛の扱いを拒否したことを受けての動きだという。
(中略)
食肉加工会社がジルマックス投与牛の購入を中止して以降、同成長促進剤の製造発売元である米医薬品大手メルクは、安全性に
問題がないことを示す研究を行っている。ただ、これまでのところ、食肉加工業界は同社の主張を受け入れていない。
しかし、一方で肉牛農家らは、ジルマックスの代わりとして、牛に深刻な健康被害をもたらす恐れがあるラクトパミンを使用している。ラクト
パミンはこれまで、約25万頭に上る豚の薬害反応に関係しているとされ、その症状として歩行困難や震え、活動過剰、ひづめ障害、
呼吸困難、衰弱死などが報告されている。
牛肉を食べる人は気を付けた方がいい。米食品医薬品局(FDA)による1999年のラクトパミン認可には、人間に対する安全性評価は
含まれていない。
FDAは、食肉処理場への出荷前に豚にラクトパミンを与えることを認めており、米有力消費者団体コンシューマー・リポーツの2013年の
調査では、スーパーマーケットの店頭に並ぶ豚肉製品の5分の1からラクトパミンが検出されたという。
(以下略)
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0MS3CZ20150401?sp=true