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(略)
では、ラーソン氏は日本マクドナルドをしっかりと立て直すことができるのだろうか。
ラーソン氏は現在58歳である。マクドナルドグループに40年在籍したということは、学生アルバイトから社員になったか、高校を卒業してから
マクドナルドに入ったということだろう。まさに生え抜きと言える。
しかし、そういった生え抜きでは現状を打開することはできない。なぜなら、内部で出世してきた人物では、マクドナルドの古い考え方から
抜け出せないからだ。
ライバルがごまんといる日本市場の構造を理解しているか
マクドナルドは長年、拠点戦略を実践してきた。より良い拠点を求めて、次々に拠点を置いていく。つまり、マクドナルドの売り上げが
伸びるかどうかはあくまでもオペレーションの問題であり、拠点戦略さえしっかりしていれば、どんどん商品を売ることができた。言い換えると、
ハンバーガーチェーン間の競争ではすでにマクドナルドは勝利していて、後は自分たちのオペレーションだけを気にしていればよかったのだ。
ところが、現在のマクドナルドが抱えている問題は、オペレーションの問題ではない。とりわけ日本マクドナルドは、構造的な問題に直面して
いる。
以前にも書いたように、日本マクドナルドのライバルはハンバーガーチェーンだけではない。コンビニ総菜などの「中食」産業や、牛丼チェーン
やカレーチェーンなどの外食産業とも戦わなければならなくなっている。「お腹のシェアを競う」という意味では、日本マクドナルドのライバルは
ごまんと存在するのである。
米国の場合、マクドナルドと競合するのはいまだに他のハンバーガーチェーンや、せいぜいケンタッキーフライドチキンやタコベル(タコス)など
に限られている。そんな米国市場に馴染んできた米国本部の人間が、日本の厳しい事情をちゃんと理解しているとは思えない。
日本コカ・コーラはなぜ生き残ることができたか
米国と日本の市場環境は全然違うということを理解・分析し、それに対する有効な対策を打ち出せるかどうか。その点で参考になるのが
コカ・コーラである。
日本コカ・コーラは米国本社の方針に逆らって、ペットボトルのお茶を出したり、コーヒー缶を出したり、水分補給飲料(アクエリアス)を出した
りした。日本においてコカ・コーラのライバルはペプシなどの炭酸飲料だけではなく、伊藤園やUCC、大塚製薬が販売する非炭酸飲料を含む
様々な飲料だということを、日本コカ・コーラはよくわかっていたからだ。
そうした改革により、自販機という最大の拠点を持つ日本コカ・コーラは、現在まで生き残ることができている。一方、米国のコカ・コーラは
非炭酸飲料にまったく力を入れてこなかったため、「コーラ離れ」「炭酸離れ」が進む米国市場で売り上げが落ち込み、苦境に陥っている。
日本コカ・コーラが改革を進められたのは、ボトラーの存在も大きい。コカ・コーラは世界各地でフランチャイズ契約したボトラーに製造・販売
を任せているが、ボトラー側から「お茶とかコーヒーをやってくれないと自販機の売り上げが落ちる」との声があがった。もちろん米国本社はコーラ
とファンタを売れ、と反対したが日本ではボトラーの発言力が強かったので、日本コカ・コーラは大胆な改革を行うことができた、というわ