ガリアンソード
テレビアニメ『機甲界ガリアン』におけるガリアンソードは、劇中において古代のオーバーテクノロジーによって作られたという設定が与え
られている主役ロボット「ガリアン」の武器の一つで、柄の部分に形状を変えるための機構があり、操作によって自由に剣状と鞭状と
を行き来することができる。
刀身は複数のセグメントに分割され、それらがワイヤー状のもので数珠繋ぎに連結されている。ワイヤーが巻上げられた状態では
剣状を維持し、これを緩ませることで刃は分割され鞭状となる。また、刃を立てた状態で対象に絡ませてから強く引くことで[2]、その
まま切り裂くというワイヤーソーの様な使い方も可能である。
『ガリアン』の監督を担当した高橋良輔は設定のルーツとして、自身の故郷の不良たちが喧嘩の武器に転用していた自転車用のロー
ラーチェーンと、1981年の映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に登場するインディー・ジョーンズ教授が使っている鞭を挙げている[2]。
高橋は『ガリアン』で中世ファンタジー系のロボットアニメという題材に取り組むに当たって、エンターテインメント性のためにはリアリティー
と荒唐無稽さの両立が不可欠だと考えていたが、ヒロイック・ファンタジー作品に登場するような直刃の西洋剣では直線的な動きは
表現できても、インディー・ジョーンズの鞭のように流麗な動きには不向きなのではないかと思い悩んでいた[2]。そこで高橋は、剛直な
直刀の西洋剣に、鞭のように優美で変幻自在な動きと、敵に絡みつけて引くことでチェーンソーのように敵を切断するというメカニカル
なギミックを加えるためのアイディアとして、この剣を考案したという[2]。
その後に創作された無数の作品でギミックを模倣されることになったガリアンソードであるが、高橋は知的財産権を主張して利益を
得ることはしなかったという[2]。高橋は、他人が工夫したアイディアを知らずうちに使ったり使われたりすることはよくあることであり「お互
い様とも言える」ので、知的財産権を主張して利益を得ることは自分の考えに馴染まず、得られたであろう利益を惜しむ気持ちはな
いと語っている[2]。