【長野】キャンプ場で クマがテント裂いてカレー完食…襲われた女性「クマに恨みはない。PCR検査は陰性で安心した」 ★
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北アルプスの玄関口、上高地(長野県松本市)の小梨平キャンプ場で今月上旬、クマに襲われた都内の50代女性が、朝日新聞の取材に応じ、「テントごと強い力で引きずられた」などと当時の状況を語った。
女性を襲ったとみられるクマは13日に捕獲されたが、再発防止策が整うまでキャンプ場は閉鎖される。
女性は8月8日から2泊3日の日程で上高地を訪れ、徳本峠などのハイキングを楽しむつもりだった。小梨平キャンプ場で山仲間2人と合流し、それぞれ1人用テントを設営した。
8日午後6時ごろ就寝したが、同11時半ごろ、テントが何者かに引っ張られるのを感じ、目を覚ました。真っ暗な中、相手の動きが速くなり、「助けてください」と叫んだ。やがて、動きが止まり、テントの布に大きな影が立ち上がるのが見えた。その直後、テントが一瞬のうちに引き裂かれた。うめくような声が聞こえ、右ひざの横に強い衝撃を感じた。
テントを張ったすぐ近くにトイレの建物があったが、その横の小道を強い力でテントごと建物の裏まで引きずられた。距離にして15~20メートルもあった。その後、テントからはい出たが、周囲は真っ暗で静か。「動いていいのか? まずいのか?」。悩みながらも起き上がって腰を低くして走り、トイレに逃げ込んだ。逃げる際、クマの頭が見えたように感じた。大きな耳が印象に残っているという。
「クマに襲われたので、仲間のテントまで付き添ってください」とトイレで助けを求めた。事故から15分くらい過ぎていた。
上高地の診療所で応急処置を受け、松本市立病院へ搬送された。最初はかまれたと思ったが、爪でひっかかれたような約8センチの裂傷が2列あり、縫合手術を受けた。PCR検査は陰性だったので、安心した。
仲間が、クマに奪われたザックや衣類などを回収してくれた。レトルトカレーなどの袋やパックが裂かれ、きれいに食べられていたという。女性は「クマに恨みはなく、むしろ申し訳ないと思う。地元の人は『山は雨続きで食料不足だったはず』という。人間の食料の味を覚えたクマとの共存は難しいと聞いた」と振りかえった。