もうその頃は同級生と遊んでばかりで祖父の所へは殆ど行ってなかった
祖父の葬儀は当時でも珍しい土葬で後で分かった事だが祖父の強い希望だったと聞いた
葬儀が終わり忌中払いの宴会の席で俺は山包丁の事を叔父に聞いた
「爺さんがこんな事言ってたんだけどさ 詳しい作り方は聞いてないんだ おじさん知ってる?」
「あれは爺様の家の古い習慣だ 今更お前がやる事じゃない」
叔父は不機嫌そうにそう言った
「じゃあ本家なら知ってるかな?」
そう言う俺に叔父は突然怒鳴った
「本家なんかに行くな!俺たちが行っていい場所じゃないんだあの家は!」
宴会の席が静まり返って祖父の兄弟たちは気まずそうに下を向いている
俺は父親に引きずられるようにして宴席を後にした