御札を眺めながら
「神さん来年の初詣は賽銭はずむからホント頼むよ」
「死んでもそうだけど働けない身体になったら賽銭も出せんから」
なんて言いながら平穏な日々を過ごしていた
黒い影も見えなくなって来て
「やっぱり軍神タケミカヅチさんはご利益あるなぁ」
などと感謝していたがそれも長くは続かなかった
中身を引き抜かれそうになってから半年くらい経ったある夜
笹子駅から500mほど東京寄りの場所で作業していた時の事
俺は見張員として現場に立っていた
下り線の作業で終電通過後23時前後から翌5時の始発までの作業なのだが
上り線に深夜2時半に夜行の貨物が通過する
その通過列車が接近したらサイレンを鳴らして作業員を待避させる仕事
200mくらいの区間を2班に分けて現場の両端と中間
それと東京方800m地点に前方見張員の計4人の見張員が立つ
俺は1班と2班の間に立っていた
「1班は計8人・・・2班は計7人・・・ 列番88の貨物は2:14分通過か・・・」
メモを眺めながらなんとなく作業員の数を数える
昔やっていた海水浴場の監視員時代の癖でこういう時はつい人数を数えてしまう