17世紀にヨーロッパ各地の空で観測された激しい爆発は、どうやら「新星」ではなく
めったに見られない星の衝突だったとする研究成果が23日、学術誌『nature』に発表された。
天文学者たちは長い間、この天体を新星と考えていた。新星とは恒星の表面に起こる爆発のこと。
恒星が一生を終える際の超新星爆発に比べると規模は小さい。
ところが発表された論文によると、17世紀の爆発の残骸である
「こぎつね座CK」を詳細に調べたところ、二つの星が激しく衝突する際に起こる
「レッド・トランジェント(高輝度赤色新星)」と呼ばれる現象であることがわかった。
レッド・トランジェントは比較的珍しいタイプの星の衝突とされる。
今回の論文を執筆したヨーロッパ南天天文台のトマシュ・カミンスキー氏によると
衝突の際に生じた元素から、このときの衝撃がきわめて激しいもので
星同士が互いに正面から衝突した可能性もあるという。
はくちょう座に出現した謎の星
1670年、新しい星が空に現れた。はくちょう座の頭付近でこの星が初めて観測されたのは6月。
夏の間はずっと見えていたが、秋になって消えていった。
1671年3月、この星は再び姿を現し、その年の夏にはかつてないほど明るく輝いた。
月面図を作成したヘヴェリウスやジョバンニ・カッシーニ
(土星探査機カッシーニの名前の由来となった人物)といった当時の天文学者らは
この星が同年10月に消えるまで観測を続けた。
1672年にもう一度だけかすかに輝いたものの、その後は二度と現れなかった。
それから300年以上が経っても、爆発の詳細は謎に包まれたままだった。
こぎつね座CKはこの間ずっと、記録に残る最古の新星と考えられてきた。