火星軌道を周回中の探査機メイブン(MAVEN)から、二つのサプライズが届いた。
大気の下層部で発生した珍しいオーロラと、謎のダスト雲である。
NASAの研究チームが18日、月・惑星科学国際会議(LunarandPlanetaryScienceConference)で発表した。
同プロジェクトの主任調査員、ブルース・ジャコスキーは
「ダスト雲に含まれる塵(ちり)がどこから来たかはわかりません」と述べ
この塵が2012年にやはり火星で発見された謎のプルームとは無関係であることを示唆した。
クリスマスの光
火星のオーロラは過去にも観測されたことがあるが、今回観測されたものは、そのどれにも似ていない。
クリスマス直前の5日間、高度50~100キロの下層大気内で光を放ったオーロラは、北半球の大半を覆った。
火星の昼側において紫外線の波長で観測されたこの現象を、科学者らは「クリスマスの光」と名付けた。
地球のオーロラと同様、火星のそれも、大気中の原子に電子が衝突して発生する。
しかし、火星には地磁気がないため、それらの粒子が大気のずっと奥深くまで入り込める。
ジャコスキーらは、太陽から吹きつける粒子の嵐がオーロラの原因であると考えている。
塵の謎
もう一つのサプライズ、謎のダスト雲は、主に高度150~300キロ付近で発見された。
1000キロ以上の上空でも発見されている。火星がほこりっぽい星であることは周知の事実だが
それがここまで高く舞い上がることは、普通であればない。
このダスト雲の成分はわかっていない。それどころか、これが恒久的な現象なのか
また正確にどこから来たのかは、さらに深い謎に包まれている。
「火星の軌道高度で、塵またはデブリの層が発見されたのはこれが初めてです」とジャコスキーは言う。
月・惑星科学国際会議で発表したコロラド大学のレイラ・アンダーソンは
これらの塵は火星大気の低い方から来たと考えるのが最有力だが
このような高高度まで舞い上がった理由はわからないと述べた。
一方、ジャコスキーは火星の衛星「フォボス」と「ダイモス」から塵が飛来した可能性を指摘している。
また、この塵によるメイブンへの悪影響はないはずだとも述べた。