彼女は高校時代から名門陸上部で競技をしてきたこともあり
「走ることでお金をもらう」ことに違和感はない。
「走ることで会社に貢献するのが選手の役割なので
一般業務をすることのほうが不自然に感じます。
名門チームにはそう思っている人が多いと思いますね。
ただ、実業団は高い目標もなく、何度も故障をするなど同じ失敗が許される場所ではありません。
ケガをすると、給料泥棒だぞ、という言われることもありますよ」と話す。
別の元選手は朝練習と本練習以外に、9時から14時まで配属先で“待機”していたという。
自分のデスクはあるものの、特に仕事はない。
「ワードやエクセルなんて使えませんし、何か指示されたことをやるだけですよ。
そのときに必要なことは教えてもらっていましたが、誰にでもできる簡単な業務です。
やることがない日もありましたね。
ただ、年の半分以上は試合や合宿などで遠征していたので
あまり会社には行っていませんでした」という状況だった。
引退後も夢にでてくる“恐怖”
女子選手を最も悩ませているのが「体重測定」だ。
男子チームではほとんどないが、女子チームの多くは
体重をチェックすることで、選手たちを“管理”している。
身長などから設定体重が決められており、それよりも多いと、罰金をとるチームもあるという。
罰金と監督からのカミナリ。
その両方が怖いために、多くの女子選手は、「測定日」に合わせて体重を調整することになる。
元選手は、「測定をクリアするために、ご飯を食べなかったり
サプリメントを飲むための水をどうするか考えたこともありました」と明かす。
体重チェックには比較的苦しまなかったという別の元選手ですら
「引退した今でも体重測定は夢に出てきます。
水を飲んじゃったという罪悪感で、深く眠れない日もありますね。
常に体重を気にして、生活しないといけないので爆発するのも早い。
そういう生活は何年ももたないですよ」と苦笑いする。
なかにはお菓子など間食をしていないか、ごみ箱をチェックする指導者もいるというから
選手たちのストレスは半端ではない。