グラグラグラ
乳男「現に今、お前の夢はとても不安定だ。ジェンガの終盤みたいに」
ガキ「……俺が寝る前、ガリガリ君の巨峰味を食ったから……?」
乳男「そういうことだ。ソーダ味を食べていたら、お前は夢など見ずに安らかに眠っているだろう」
咲子「おっおえぇぇえええ……」
なつみちゃん「……もう。ほら、私を使って……」
咲子「ありがとう……」シュルル
なつみちゃん「アァァァァンッ!」
ガキ「……それはわかった。……俺からも聞きたいことがある」
ガキ「……なぜ俺を捨てた」
乳男「……」
ガキ「答えろ」
乳男「ママ子がアイツに殺されて、俺は気が動転していた。復讐に取りかれていた」
ガキ「……」
乳男「咲子を殺すために、俺はあらゆる……」
ガキ「そのへんは知ってんだよ。それからだ」
乳男「……」
乳男「俺は、アイツを殺すために、アイツに取り入る……ふりをした。俺の力じゃ、どんなことをしてもアイツを殺せなかった」
乳男「その目的は、この身体を悪魔に変化させること」
乳男「方法は簡単だった。アイツの肉体の一部を俺に移植するだけ」
ガキ「……」
乳男「咲子は見事に騙されてくれた。そして、俺はインキュバスとなった」
乳男「リアル世界の身体は、その身に宿した力によって朽ちた。ただの人間が夢魔になるということは、この夢の世界でしか生きられないということ」
乳男「そんな俺が、子供一人まともに育てられるわけがない。だからお前には俺の存在を、完全に知らないでいて欲しかった」
ガキ「……」
乳男「俺がまだインキュバスとしてリアル世界に居られた数分の間。その時間でお前の全ての記憶を消した。そして一枚の写真だけ残し、俺はこちら側の住人となった」